企業の生産工程に使われる長さを測る計測器はJCSS校正を受けます

様々な品質管理の手法が導入されるようになりました

今からちょうど半世紀前くらいからですが、日本でも様々な品質管理の手法が導入されるようになりました。品質管理の手法として日本で最初に導入されたのがアメリカで開発されたTQCです。トータルクオリティコントロールと言われていましたので、覚えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。日本の企業は自動車産業を中心としてこぞってTQCの最高峰であるデミング賞を目指しました。大手建設会社でも全く同じことが言えます。こぞってデミング賞を目指しましたが受賞できたのはわずか2社にすぎません。デミング賞を受賞するということはそれほど難しいことでしたので、見事デミング賞を受賞した大企業はテレビなどで大々的に宣伝をしました。これも覚えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。

元となる基準に遡って確認をすることが要求されます

その後日本の品質管理はTQCの手法からISOの手法に移り変わってきました。ISOは国際標準化機構の略称でその本部はスイスのジュネーブにあります。ISO品質管理で最も重視されるのがトレーサビリティです。どのような品質に対しても、それの元となる基準に遡ってチェック確認をすることが要求されます。このような流れを受けて登場してきたのがJCSS校正です。例えば長さや重さの計測器に対しては登録された事業者による定期的なチェックが必要です。なぜならばそれらは法律で定められているからです。JCSS校正はISO17025に準拠した、国家標準器とのトレーサビリティのある校正を行うための制度です。日本の経済産業省を中心としてその管理組織が立ち上げられました。それが独立法人のNITEです。

国家が保有している標準機との比較をします

日本の企業の生産工程に使われるような長さを測定する計測器に対してはJCSSのラベルの付いたものを使用しなければなりません。それができるのは登録された校正事業者だけです。それが経済産業省の認可を受けていることには間違いありません。何をチェックするのでしょうか。それは国家が保有している標準機との比較です。例えば長さを計測する装置をチェックするとします。その場合には同じ種類の計測器を用いて、テストピースの長さを測定します。そして国家の標準器で計測された値と、企業が現場で使っている計測器との差をチェックします。国家の標準器に対してどれくらいの誤差があるのかが明確に記録されます。最終的にこの厳しいチェックに合格すれば計測器に合格のラベルが貼り付けられ、企業の製造工程で使用できるということになります。